2007年8月11日土曜日

魔坂の事故。(前編)

 高校時代の友人が帰ってきているので、いつもの相生・金ヶ崎へツーリングです。とはいえ、相手は750cc、こちらは50ccと1/15の排気量では一緒に行けるはずもありません。

 そんなわけで、時間を決めて現地へ集合というかたちでソロ×2のツーリングになります。

 先日、その友人にカブの調子を見てもらいながら、チェーン注油やコーナーの乗り方のレクチャーをしてもらい、行きがけにガソリンも満タンにして準備万端レッツゴー。
 相変わらずの定時の巡航速度を守りつつ、浜国沿いに赤松の鼻を抜けて万葉の岬へ。そこから少し上がればもう相生荘のある金ヶ崎です。
 予定時刻の少し前に到着しましたが、果たして友人はよっぽど早く到着していたようです。

 自販機で買ったジュースで乾杯しながら他のバイカーを待っていると、バリオスやニンジャ等のバイクがちらほらと。
 バイク通の友人は、バイカー同士の意気投合で違いに話をしています。僕の方は専門用語はわからないので耳を傾けて相づちを打つ程度だったんですが^^;

 それから結構な時間が経って撮影がてら食事に行こう、ということになり、バイカーに別れを告げて相生のマックスバリュへ向かいます。


 ……そこで、事故は起きました。


 気が緩んでいたのか、それとも、荷重移動やコーナーの攻め方のことが頭に残っていたのか。

 広めのコーナーに、対向車がゆっくりとした速度で登ってくるのが見えました。

 当然、フロントに手をかけてブレーキをかけたのですが……坂は予想以上の勾配で、思うように減速してくれません!

 焦りました。でも、いつもならたぶん、何とかなったはずです。

 なのに。

 この時は制御できず、せめてバイクを倒して相手車の右前輪のタイヤにカブを入れることだけ。

 相手の車は何も悪くありません。
 こちらがコントロールミスを起こし、倒れた車体を滑らせたままセンターラインを越えていったのです。

 相手の速度はほとんどなく、ブレーキが利いて止まる寸前。こちらも早めに車体を倒しているので、たいした速度でないままにぶつかりました。

 今でも、相手の表情や倒れるカブ、散らばるウインカーランプのきらめきを鮮明に思い出せます……。

 あのですね。
 衝突するときの音って、意外と軽いんですよ……。

 車体重量も軽いし、ボディも小さいからでしょうか。
 シンセサイザーでカークラッシュの音色がありますが、ホントにあんな感じでした。

 あと、よく本やネット記事で「やってしまった」とか「これは死んだな」なんて感想がありますが、僕の場合はどうだったかというと。

 「死なない程度に最小限のダメージになったはず……!」

 ……意外に強突張りな自分を発見してしまいましたよ;

 事実、目測通りの位置にバイクのボディは相手車の前輪右タイヤを噛み、自分はその側面に転がり落ちました。
 肩から落ちたあと、半回転するようにバウンドしてアスファルトに胸を打ちつけます。
 ほんの一瞬だけ息を詰め、2、3秒ほど倒れたのちに起きあがって事故の確認をします。

 お互いに混乱はありましたが、比較的、話はスムーズに進みます。

 相手の方は年配の女性で、直接僕の方を責めることもなく「ケガの方は大丈夫? それが心配やわ…」と案じてくださっていました。恐縮することしきりです;

 そこへ後方から追いかけていた友人が到着し、直ちに状況を把握すると、現状保存をカメラで行なったり、相手側から話を聞いたりしてくれていました。
 なぜだか手慣れていて、とても頼もしく感じましたね……。

 実はこれが、後々になってから役に立つことになるのでした。

 僕はその間、警察に電話を入れ、事故の場所や内容を説明しています。
 警察が来る間、こちらは謝罪し、車のキズを確認し、全面的な過失であることを認めていました。
 すぐに過失を認めるな、とよく本には書かれますが、相手の人柄の良さがわかっている上に、こちらの全面的過失が明らかなのでそんな往生際の悪いことはできません。

 夏の暑さと緊張から生まれ出る汗をぬぐうと、手首の辺りに薄く赤い筋が引かれていました。

 血です。

 そういえば、事故直後は興奮状態にあるので痛みが小さいそうですね。

 グローブをしていなかったので、右手の甲が5、6カ所ほどズル剥け、左ひじ付近にも擦り傷があり、血がにじんでいます。見た目はけっこう痛そうなんですが、↑の理由からかあまり感じません。
 それより、打撲した肩が少し腫れてくるのと、深く呼吸をするとあばら骨の奥にじいん、と小さな痛みがあるのが気になりました。

 まずは傷口を消毒してきた方がいいですよ、と言う友人の助言に従い、僕はもと来た道を徒歩で引き返します。


 道のあちこちからミンミンゼミの声。

 遠くで聞こえるバイクのエキゾースト音。

 玉のように噴き出る汗を滴らせつつ、胸を押さえた姿で相生荘に入っていきました。


 ……長くなったので、続きは次回に。

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